EMS企業

EMS企業 週刊新潮14年12月18日号
EMS企業 産経14年12月11日
 (私のこころにもこういう意識が住み着いているなぁ)





 EMS企業


 私は仕事柄EMS(electronics manufacturing service)企業は15年ほど前から知っていた。当時、日本と中国の賃金は20~30:1くらいあり、どう考えてもかなわんなぁと脅威に感じたことを覚えている。

 そのEMS企業について、野口 悠紀雄さんが、週刊新潮12月18日号(最新号)の「世界史を創ったビジネスモデル」に書いている。具体的に例示されると、驚くほかない。抜粋してご紹介します。


 ⅰPhoneを支える化け物企業

 
 アップル製品の部品は世界中のさまざまなメーカーが生産しているが、最終組立工程を担当しているのは、フォックスコン(富士康科技集団)だ。同社はアップルの他にも、デルやヒューレット・パッカードなどのPC、ソニーの携帯電話なども生産している。

 同社は、2012年にシャープの筆頭株主になって日本でも広く私られるようになった台湾企業ホンハイ(鴻海精密工業)の中核会社だ。

 電子機器の受託生産を行うことをEMSというが、フオックスコンは世界最大のEMS企業である。EMS企業は複数のメーカーから受託して電子機器の量産を行うが、自社ブランドでの生産は行わない。設計は依頼者側が行う。

 フオックスコンは、さまざまな意味でわれわれが持っていた常識を超える企業だ。まずは従業員数

 最盛期のAT&Tの従業員数が約100万人で史上最大と言われたが、それより多い。ウォルマート220万人、マクドナルド190万人には及ばないものの、トヨタ(連結ベース)34.3万人よりずっと多い。

 フォックスコンの従業員数は、現在では、約160万人とされる。製造業では間違いなく世界最大だ。


 フォックスコン・シティ

 フォックスコンの工場は世界各地にあるが、大部分は中国にある。13の工場団地があり、最大のものは、深圳にある。この工業団地での従業員数は、20万から45万人と言われる。

 広さは約3平方㎞ある。東京都中央区の3分の1近い。

 この敷地内には15の工場があるが、、それだけではない。レストラン、カフェ、スーパーマーケットがあり、テニスコート、バスケッボールトコート、体育館、サッカー場、2つの巨大なプールがある。銀行や図書館もある。ラジオ放送局やテレビニュースステーションもある。病院もあるし、消防署もある。

 工場というより、「大都市」だ。実際、ここは「フォックスコン・シティ」と呼ばれる。毎日200頭の豚が調理され、数十トンの野菜やコメが使われる。食事は無料ではないが、市価より安い。 調理室からは毎日3000トンの汚水が発生するが、周囲の環境を悪化させないため、敷地内で処理される。

 ⅰPhone販売台数は、14年第4四半期には3927万台に達した。累計販売台数は5億9053万台になった。こうした膨大な生産量を支えるのが、フォックスコンの生産体制なのだ。


 突然の生産変更に即座に対応

 エレクトロニクスの生産では、数量がある水準を超えると、コストも急激に下がる。EMS企業は、特定のメーカーだけから生産を受託するのではない。全世界の企業を相手にしている。だから大規模生産が可能となり、コストが低下する。

 単に大量生産というだけではない。ニューヨークタイムズの記事が、次のようなエピソードを紹介している。

 2007年、最初のⅰPhoneが販売される予定日の1ヵ月前のこと。画面にすり傷がつくのを見たスティーブ・ジョブズが、「6週間以内にガラス製スクリーンに変更」との緊急決定を行った。そこでⅰPhoneのスクリーン仕様が急遽変更され、フォックスコンの工場に対して生産ラインの全面見直し指令が出された。

 ガラススクリーンが工場に到着し始めたのは真夜中だったが、工場の現場監督者は、寮に住む8000人の作業員を叩き起こした。彼女たちはビスケットとお茶を与えられ、工場に連れて行かれた。

 それからわずか30分で、ガラス製スクリーンをフレームにはめる作業が、12時間シフト体制で開始された。96時間後には、工場は1日1万台のペースでⅰPhoneを生産していた。それから3カ月後、アップルは100万台のⅰPhoneを販売した。

 このような速度で生産変更に柔軟に対応できる工場は、アメリカにはないし、作ろうとしてもできない。フォックスコンの従業員は寮に住んでいるから、突然の生産変更にも対応できるのだ。アップルがファブレス(工場を持たない会社)でありうるのは、フォックスコンが存在するからだ。

 アップルの製品は、確かに優れたアイデアから生まれたものだ。ただし、ここで見たような生産体制がなければ、それを製品化することはできない。中国なくしてⅰPhoneはありえない。

 中国の工業化という世界経済環境の大変化を、アップルほどうまく活用できた企業はない


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 野口 悠紀雄さんの「世界史を創ったビジネスモデル」シリーズは興味深い内容が多い。私は毎号必ず目を通すことにしている。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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