人類の新しい恐怖

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 人類の新しい恐怖


 私は、歴史は多少のぎくしゃくはあるものの、人権の拡大・個人の自由拡大の方向へ進んでいるものと思っていた。しかし、ここ数年、中国の近隣諸国への侵略、ロシアのウクライナへの進出、中東・北アフリカの混乱(虐殺・強姦・奴隷化・略奪・身代金目的の誘拐など)など、歴史が百年ほど前に戻ったかのような様相を呈している。

 欧州も、リーマンショック後の欧州財務危機以降、余裕がなくなったためか、失業率が高まり、右翼が台頭し、なにやら風向きがおかしくなり始めている。高知新聞12月22日イニャシオ・ラモネさんのコラムを抜粋してご紹介します。


 欧州に広がる「闇」

 フランスの歴史学者ジャン・ドリュモーは「人間社会には常に恐怖がすみついている」と言う。20世紀より前、人間を不幸にした大半の理由は自然だった。地震、洪水、冷害、干ばつ飢饉やペスト、結核などだ。20世紀になると二つの大戦があり、殺りくの規模は桁違いに増加。広島と長崎への原爆投下で人類は、核兵器による黙示録的破滅におびえることになった。

 その恐怖は冷戦終結で少しは収まったが、チェルノブイリ原発や東電福島第一原発の事故が示すように原子力の脅威はまだ存在する。

 そして現在。ドリュモーたちによると2001年の米中枢同時テロによって発生したテロの脅威を除くと、恐怖は社会的、経済的なものになっている。失業、貧困、金融恐慌や鳥インフルエンザ、エボラ出血熱といった感染症、環境破壊、地球温暖化、食品汚染などがそれだ。

 
 極右の拡大

 そうした恐怖を最も感じているのが欧州だ。債務・経済危機、大量失業、社会保障カット、欧州統合推進に伴う国家主権の削減、国境消滅、異文化受容といったことが価値観とアイデンティティーの喪失を招いている。欧州の7カ国で実施された調査では、半数の人が両親の時代より生活が後退したと感じている

 欧州には今、恐怖がすみついている。世界に権勢を誇った時代は終わり、外部からの襲撃になすすべがなくなっているという恐怖。大量の移民流入やイスラム人口増加で自分たちの生活文化が破壊されるという恐怖…。

 多くの欧州人は政府に見捨てられたと感じている。政治不信は高まり、マスコミは政治家を利権屋、詐欺師と呼ぶ。市民は19世紀のフランスの政治家トクビルが語った「過去は未来を照らさず、精神は闇の中をさまよう」という気分にさいなまれている。

 こうした社会的腐植土壌を利して勢力を拡大しているのが極右やポピュリストだ。彼らは扇情的な演説でイスラム教徒、ユダヤ教徒、少数民族ロマ(いわゆるジプシー)、黒人といった「外国人」をいろんな問題の元凶とあげつらう。最近では、民主的な政党の主張にもこうした言説が混じり込む傾向すらある。

 特にイスラムに対する恐怖は根深い。フランスとドイツで実施された世論調査では、イスラム教徒を「脅威」と感じる人の割合は両国とも約40%。イスラム教徒は移民先の社会に溶け込もうとしないと感じているのはフランスの68%、ドイツの75%。ドイツのメルケル首相は異文化との共存を目指すモデルは「完全に失敗した」と言い、「イスラム教徒には同化の意思が足りない」と主張したドイツ中央銀行のザラツィン元理事の著書が125万部を売り上げた。

 
 有権者に幻想

 確かに欧州にいるイスラム教徒には非難されるべき人もいる。一部の活動家は欧州でイスラム原理主義を広める説教をし、キリスト教からの改宗者の若者をシリアの戦場に送り込んでいる。こうした現状が極右らの主張を受け入れやすくしている面もある。

 フランスの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首は演説で必ず恐怖や脅威という言葉を使う

 彼らは理想化された過去と守るべきアイデンティティーに固執し、イスラムを「外敵」に仕立て上げる。攻撃の矛先は欧州連合(EU)にも向く。EUは加盟国から個性を奪い去り国家と国民を危険にされすと主張。自らを闇の世界から光の世界へと導く「救世主」になぞらえる。

 実は欧州の極右、ポピュリスト勢力のほとんどは自らを既存の政治の枠外に置くことで現実に立脚しない幻想をつくるあげているにすぎない。しかしさまざまな恐怖がまん延する今の欧州では有権者の心をつかんでいるのだ。  (元ルモンド・ディプロマティク総編集長)


以上


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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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