自然界の掟

自然界の掟 産経15年2月11日
自然界の掟 産経15年2月13日
 カンガルー親子がカピバラをマッサージ
 (神戸どうぶつ王国)



 産経新聞2月11日「正論」欄は、動物行動学研究家・エッセイストの竹内 久美子さんである。竹内さんには生きものについて、過去いろいろ教えてもらった。抜粋してご紹介します。


 遺伝子継承めぐる自然界の掟


 不思議な「双子のパンダ」

 昨年12月2日、和歌山県白浜の「アドベンチャーワールド」にまたしても双子のパンダの赤ちゃんが誕生した。母、良浜(ラウヒン14歳)にとって4回目の出産である。

 良浜はこの日の朝、8時半に1頭目を産むと、すぐさま加えて胸に抱き、授乳を始めた。3時間後の11時半、2頭目の子を産み落とした。2頭ともメスで、体重は1頭目が181㌘、2頭目は186㌘である。

 パンダの出産について長らく関心を寄せてきた私にとって、これは仰天の出来事だった。

 そもそもパンダは常に双子で生まれるわけではない。半分くらいのケースが双子である。そして双子で生まれるとしたら、両者には大変な体重差があり、しかもまず間違いなく大きい方の子が先に生まれるのである。


 良浜の過去3回の出産例を見てみよう。 (省略)

 さらには良浜の母である、梅梅の出産例も見てみよう。 (省略)

 良浜も梅梅も、パートナーは永明(エイメイ現在22歳)である。


 スペアを用意する産み方

 これらの出産の記録を見ると、私が今回の良浜の出産に仰天したことがおわかりだろう。過去に第一子と第二子にこれほどまでに差がない例はなく、まして第一子の方が第二子よりも、小さいなどということもありえなかったのである。

 普通、母親に2頭目の子が生まれたとき、彼女は最初の、大きい方の子を抱くのに必死である。後の子は産んではみたものの、無視。自然界なら、その子は体が冷えて死ぬか、母親の巨体の下敷きになって圧死するか、のどちらかである。

 つまり、後の子というのは最初の子がうまく生まれてこなかった場合のスペアであり、母親としては育てる気もないし、そもそも両者を自力で育てあげることは不可能である。後の子は、スペアであるからこそ体重は軽めに抑えられているのだ。

 こういうふうにスペアを用意するという産み方は、多くの猛禽類にもみられる。たとえばイヌワシは、卵を2つ産むが、孵化(ふか)を数日ずらすよう工夫している。

 最初に孵(かえ)ったヒナに遅れること数日で、次のヒナが孵る。当然、先に孵ったヒナの方が大きい。彼(彼女)は下の子の、主に頭の部分をクチバシでつつき、追いかけ回し、ついには衰弱死させる。上の子が下の子を殺すことがわかっているのに、なぜわざわざ下の子を産むかといえば、下の子は、上の子がうまく孵化しなかったり、育たなかった場合の、やはりスペアだからなのだ。


 動物の世界がみせる恐ろしさ

 上の子が下の子を衰弱死させることができたのは、それほどまでにしっかりと育ったという証し。恐ろしい話だが、これが動物の世界だ。

 では、どうして飼育施設でパンダの双子がどちらも無事に育つのかというと「ツイン・スワッピング法」なる手法を用いるからだ。

 第二子が生まれたとき、、飼育員はその子を素早く取り上げ、保育器に入れて暖める。数時間がたったとき、第一子を抱いている母親の目の前に「パンダミルク」なる、パンダの大好物である人工乳を入れたボウルを差し出し、視線を遮る。母親はミルクに夢中になるので、その間に胸に抱かれた子供をすり替えるというわけだ。

 こういうことを数カ月にわたり繰り返し、母親にはあたかも1頭しか育てていないかのような錯覚を起こさせるのである。

 今回の白浜での出産の異例さは、どう説明されるのだろう。

 人間も含め動物は皆、遺伝子をいかに次代に残すかという課題の元に生きている。そうすると、ときにはこんな恐ろしい局面も存在するわけである。


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 生きものに関しては、2011年2月26日ブログ「男と女」、2011年8月2日「生存と繁殖」、2013年1月11日「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」などを見て下さい。

 「てっちゃん 雑文集 性」でもご覧になれるかと思います。


以上

 

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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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