ここまで赤裸々…何も言えない

何とも言えない
 AV女優 佐藤るり=文筆業 鈴木涼美(すずみ
何とも言えない(幻冬舎) 1512円
何とも言えない
何とも言えない
 週刊現代15年3月28日号
ここまで赤裸々…何も言えない
 朝日14年12月12日



 ここまで赤裸々…何も言えない


 15年2月11日ブログ『白鶴の紅』に少し書いたが、AV女優 佐藤るり=文筆業 鈴木涼美すずみ)である。彼女の経歴は、ギャル→慶応大→東大院(この間、キャバ嬢、AV嬢)→日経新聞記者→文筆業である。父は大学教授、哲学者、母は翻訳家、童話作家。

 日本は何でもありの国。一方、中東や北アフリカ、アフガニスタン、パキスタンなどでは、女性がニカブ(男の宗教心を乱さないように髪と体の線を隠すための着衣)を着なかったからといって石打の刑(こぶし大の石を群衆が投げて殺す)に処されたり、女性が学校に行っているからといって撃ち殺されたりしている。サウジアラビアでは、女性は車の運転を禁止されている。女性が1人で外出することを禁じられている国もある。

 日本は一方の極で、中東、北アフリカ、アフガニスタン、パキスタンなどはもう一方の極である。


 週刊現代3月28日号に、鈴木涼美さんと慶応大学時代の恩師(教授)で文芸評論家の福田和也かずや)さんの対談が載っていた。倫理感はさておき、いろいろ真理が含まれている、ような気がする。抜粋してご紹介します。



 慶応大学ゼミの恩師と裸の教え子が再会して

 「全然知らなかった!」

福田 いつだったか忘れたけど、鈴木さんがゼミ終わりに、「じゃあ、先生!今日は『パンチラボーリング大会』に行ってきまーす」と元気よく出ていったの。

鈴木 私、そんなこと言いましたっけ(笑)。

福田 そう。だから、「う、うん、……じゃあ、がんばってね」と見送ったんだよ。

鈴木 その頃はいろんなことをしていたので、そんなイベントがあったのかもしれない。

福田 僕のゼミには個性的というか、変わった人が多くて、その中で鈴木さんはまともな学生という印象があったから、正直驚いたよ。
 鈴木さんが夜の盛り場とか大人の世界にちょっとだけ出入りしているんだろうということは、他の学生からそれとなく聞いていたんだ。けれど、まさかAVにまで出ているとは知らなかった。

鈴木 別に隠すつもりはなかったんですけど……福田ゼミにいた22~23歳ごろはAV女優として、もう「ベテランの域」に入っていたくらい。

福田 去年、週刊誌に鈴木さんが「70本以上に出演したAV女優だった」と書かれて初めて知ったんだけど、それについては僕もコメントしようがないよなあ。

鈴木 実際のところ、別に事実を暴かれたからといって、「えっ!まさか……あなたが!」みたいなドラマチックな反応は、周囲の誰からもされなかったです。

福田 ただ、AV出演のことを聞いたとき、「才能豊かな鈴木さんのことだから、そういう生き方もありなんじゃないかな」とは思ったね。

鈴木 私にとっては、慶応大学での生活とAVの仕事はくっきり分かれていました。今日は「大学の日」とか明日は「AVの日」とか、いくつもの世界を同時に生きてないと飽きちゃうんですよ。


 「我慢ができなくて」

福田 そもそも、周りの人からは、なんでわざわざAVに出たのって聞かれるでしょう?
 普通に考えたら、相当覚悟と勇気のいることだろうなとは思うから。

鈴木 そう、出演のきっかけですよね……何だろう、忘れました(笑)。別に大したことじゃなかったんですよ。

福田 親にバレたときのことを考えて、AV出演をためらう人が多いとも思うけど……昔は絶対に親バレはしたくないという思いがあって、ソープで働く女の子も、住所を変えて、自分とはまったく違う人を演じることはあったようだからね。

鈴木 親にバレたらイヤだなぁ、でもバレないんじゃないかなぁ、と考えたくらいで、バレた後のことはあまり想像していなかったんです。
 バレたらそれなりに怒られることはわかっていたけど、目の前にあった「何となく楽しそうに見えるもの」を我慢するほど、親の圧力が強く働かなかっただけです。親にとっては、卒倒しちゃうほどの事実だったかもしれないですけれど。

福田 そうだよね。お父さんは学者だし、良家に育ったもんね。

鈴木 私もバレないように、「ホクロを消してください」なんてことをメイクさんに注文していました。AVデビューは世間ではあまりいい目で見られないし、裸をさらすことでお嫁にも行きづらくなる。私も別に「正しい」と思ってセックスしていたわけじゃないんです。


 「AV出演で何か変わった?」

鈴木 撮影は別にそんなにイヤじゃなかったですよ。現場でもゼミでも今この場でもそうですけど、「違う自分を演じるのが楽しい」んです。
 私は中イキ派じゃないので、撮影ではあまりイケませんでしたし、カメラアングルを考えて動いたから、肉体的刺激は感じていませんでした……ローターを使えば気持ちよくはなれたので、オナニーの撮影ではイケましたけど。

福田 赤裸々トークだね(笑)。AVに出演したことで何か変わったことはあったの?

鈴木 実際はAVに出たくらいで、人生や考え方が劇的に変わったことはないです。

福田 いろんな出来事を経験して、総合的に世の中を見る目が変わったり成長していく。AVもその一つの要素にすぎなかった。

鈴木 ただ、「性的なものはおカネを生む」という考えは、高校生の頃から変わらないです。女性の性的なものは昼夜ともに、圧倒的価値を持っていますから。
 日経新聞記者時代も、女性としてそこにいるだけで価値が出る現場もありました。ということは、直接的な売春なんかしなくても女の性は買われているんですよ。日経からもらっていた給料の中にも、私の肉体的価値は含まれていたと思っています。

福田 ただ、今の時代は草食系とか絶食系とか言われて、若い男性には女性の性的アピールが、そこまで魅力的ではなくなっている。

鈴木 そう、セックスがあまり流行ってない感じがします。ひと昔前は女性にモテて、沢山セックスしたいからおカネ持ちになりたいなどと、ひたすら性欲に駆り立てられている男性の情熱がこちらにもすごくわかったんだけど、最近は違う。
 なので、男に欲情されることで生きていこうと思っている女子、というか私は、どうやって彼らと付き合っていけばいいのかよくわからない。

福田 女としての武器が武器にならなくなった。もう、性的価値を買ってくれないでしょう、同世代の若い人たちは。


 「生き方は治らないから(笑)」

鈴木 私の同世代の男の子は、私がAV嬢だったからといって勃起しません。だから、福田先生以上の世代に訴えかけるしかないんです。私の〝主戦場〟はおカネを持っていて、性に前向きな中高年層ですよ。

福田 50代以上のおじさんには、若者よりも性欲がある人が多いからね。鈴木さんほどの高学歴で優秀な人が、AVに出演していたということで、驚きながらも興奮するんだから。

鈴木 元日経新聞記者がAVに出ていたことくらいで喜んでくれるおじさんたちには、「こんな私を面白がっていただいてすみません」という気持ちにもなりますけれど。

福田 でもまぁ、AV出演は事実として、あなたはあなただから、仕方がないよね。この生き方はもう治らないから(笑)。

鈴木 (自分の出演しているAVのパッケージを見ながら)私はAV自体を一切見ないので、自分の作品も持っていないんだけど……。先生、私のAV見てくれました?

福田 いやいやいや(笑)。

鈴木 私、AVに出たぐらいじゃ全然面白くないなぁと思っていました。個性の強いタイプじゃなかったんで、私なりの面白さをもっと追求したいと頑張っていた結果、「抱き合わせ商法」をすることに辿り着いたんです。
 そこで元AV女優という面白い肩書だけではなく、元東大生とか、元日経新聞記者などの肩書、つまりブランドを集めました。でも10年間、ブランドを集め続けた今も、まだ足りないと思っています。

福田 鈴木さんは健やかな人ですし、人間的にも成熟しているから、これからもしたいことをしていけばいいんじゃないかな?
 それほどの「知恵」をあなたは持っている。鈴木さんみたいな人が、明るく健やかに伸びていく姿を見るのは教員の一番の喜びですよ。

鈴木 先生、私にはそこまで誉められるほどの中身は全然ありません。
 ただ、先生には本当に感謝しています。映画や小説の批評コラムを書き、先生のコメントをもらうというゼミが、文筆家としての今につながっているんです。母親からは「福田先生と対談するの?あんたも偉くなったものね」と言われました。

福田 それで、これからの進路はどうするつもりなの?

鈴木 来月からは、修士課程を修了した東京大学大学院に戻って、博士号を取ります。私の肩書に「東大博士」が付け加わったらカッコいいかなと思って。それで5年後、週刊誌に「元AV嬢東大博士」と書かれたら面白いかなと。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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