『日本経済ここが正念場』★★★★★

『日本経済ここが正念場』
 (アスコム) 1188円
『日本経済ここが正念場』
 朝日15年8月2x日
 庭に出るとクマゼミの亡骸がよく転がっている。少し油断すると何ケ所も蚊に刺される。刺すのはメス。向こうは子孫を残そうと必死だが刺される訳にもいかない。





 『絶対こうなる!日本経済ここが正念場』★★★★★


 対談形式なので読み易い。司会は田原総一朗さん。榊原英資えいすけ)さんは青学教授、元大蔵省の財務官「ミスター円」。竹中平蔵さんは慶大教授で、小泉内閣で金融担当大臣、総務大臣などを務め「構造改革」を推進した。

 榊原さんは、経済成長率を年率1%くらい、消費税率を20%、「大きな政府」にしてこれを財源に経済格差を調整して、ヨーロッパ型の福祉社会を目指すべきだとする。

 竹中さんは、農業、医療、官僚、労働組合、地方自治体、経団連、大手メディア等の抵抗勢力を抑え込んで、改革すれば2%成長は出来るとみる。ここのところの議論は大変面白いので抜粋して引用します。


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 竹中 榊原さんは1%成長で何が悪いか、とおっしゃった。でも、1%か2%かというのは決定的な違いだ、と私は思います。

 アルゼンチンは20世紀の半ばには、フランスより1人当たりGDPが大きい先進国でした。ところが、いまフランスのGDPはアルゼンチンの2.4倍です。この65年間の両国の成長率の差が、毎年1.5%くらいです。1.015を60回かけ算すると2.44になりますから。

田原 1.01を20回かけ算すると1.220。1.02を20回かけ算すると1.486だね。1991年のGDPは438兆円だから、1%成長を続けると20年後に534兆円になる。現在は、だいたいそんな感じです。ところが、2%成長を続けることができたならば、20年後のいまは650兆円になったはずではないか、と。

竹中 そういうことです。1年のGDPが100兆円以上違ってくる。1000兆円の借金なんて、しなくてよかったはずじゃないですか。


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 官僚機構の最大の問題点は「官僚の無謬性」ということについて

竹中 官僚組織の最大の問題点は、「官僚の無謬性」だと思う。過去の政策が間違っていたと認められず、自分たちを正当化しようとする。政策を変えると「これまで間違っておりました」と認めることになるから、変えない。

田原 かわいそうだったのは、宮澤喜一さんです。宮澤さんが首相になったとき、バブルが崩壊した。銀行の不良債権がいっぱい増えて、宮澤さんは公的資金を投入しようとした。最初は7兆円です。ところが、公的資金を投入すると、大蔵省や金融局が失敗したと認めることになる。だから大蔵省が公的資金の投入に猛反対した

 大蔵省は反対しただけじゃない。全銀協、銀行の業界団体が、「われわれの経営は健全です。公的資金なんて一切必要ありません」と大蔵省にいわされた

 宮澤さんが公的資金を投入していれば、その後積み足したとしても、せいぜい10兆円とか20兆円でよかったのに、結局100兆円以上を積むことになってしまった。あれは大蔵省の犯罪行為だったと思います。

竹中 そこは、内閣総理大臣が「これを必ずやる」と思えば、たいていこことはできますよ。


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 高齢者には所得制限を導入し、若者への福祉を充実させるべき、という次の議論も面白い。

竹中 日本に圧倒的に不足している社会保障があります。若者に対する福祉ですね。田原さんも榊原さんも、年金をもらっているでしょう?

田原 もらってます。

竹中 お2人とも、いらないでしょう?

榊原 くれるものだからもらっているけど(笑)、所得制限は、やっていいでしょう。

竹中 フリードマンは「貧しい人が農民ならば、彼は農民だからではなく、貧しいという理由で援助すべきだ」と言った。そうなっていないのは、農業支援プログラム、老齢給付金、最低賃金法はじめ限りなく多くのシステムがもつ欠陥だ、というんです。

田原 老人医療費の1~3割負担はダメ。貧しいという理由でやれ、ということだ。

竹中 そういうのはやめて負の所得税に1本化すれば、行政コストが大幅に削減できる。2016年からスタートするマイナンバー制度が使えるから、セーフティネットとして給付つきの税額控除制度を導入すればいい、と私は思います。

田原 一定程度より所得が低い人からは、負の税金を取る、つまり給付金を渡す。

竹中 これは1999年に英ブレア政権がやったんです。2001年にはフランスとオランダもやったんです。日本は15年遅れですが、やればいいです。


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 中国が「中進国の罠」に陥るかどうかについて

竹中 世界銀行は、1人当たり国民所得が1000~1万3000ドル弱の国を「中進国」と定義しています。いまの中国がそうで8000ドルくらいです。その先、1人当たり1万ドルを超えて2万ドルという水準にいくためには、イノベーションが必要なんです。それには自由な社会でなければならない。これが今後の中国の最大の課題でしょう。

田原 ヘタをして、中国がデフォルト(債務不履行)するなんてことは?

竹中 それはありません。中国は借金をしていないし、財政赤字も小さい。国全体としては大きな資産を持っていますから。

榊原 米国債なんか大量に持っている。国としての破綻はないと思いますよ。


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 ヨーロッパはなぜ、中途半端な統合のままでふらふらするのか?

榊原 財政の統合はきわめて難しい。簡単にはいかないから、中途半端な統合のままでふらふらする。これが現在のヨーロッパ問題の根本です。

竹中 通貨だけ統合するというのは、理論的に無理で、誰が考えても無茶な話なんです。

榊原 それでも、なぜヨーロッパはユーロを続けるのか、ということですね。

竹中 ある人がいったのは「これはもう経済の問題じゃない。私たちは同じ一つの屋根の下にいたいんだ。かつて隣国同士が戦争に明け暮れ、20世紀に2回も大戦争をやった。これはもう絶対に避けたいという意識なんだ」と。今後の財政統合も非常に難しいと思いますが、それでも彼らはいくんじゃないですか。それがヨーロッパでしょう。

榊原 ヨーロッパはその方向で努力するでしょうね。


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 アメリカのフロンティア・スピリットについて

竹中 アップル、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブックのようなものが出てくるのはアメリカだけなんです。日本からはもちろん、ヨーロッパからも出てきていない。そこはアメリカ社会の土壌が、まさにフロンティア・スピリットを持った人を受け入れて、育てるからでしょう。

田原 アップル、マイクロソフト、グーグルみたいなものは、なんで日本から出ないんですか。ITの基本は全部アメリカじゃないですか。

榊原 そんなこといったって、アメリカって、そういう国なんですよ。

竹中 一言でいえば、アメリカというのはフロンティアを開拓するためにできた国です。

榊原 そりゃそうで、もともとアメリカ人という民族なんて、いないわけですから。北アメリカ先住民を除けば。
 アメリカはきわめて特殊な世界で、先進国を見てもアメリカだけが特殊なんです。日本やヨーロッパに「アメリカになれ」といっても無理なんだ。アメリカのあとを追いかけていけば、いいんですよ。

竹中 榊原さんのおっしゃったことに、基本的に賛成です。


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 以上はほんの数例です。ほかにも色々勉強になることが載っています。是非本文にあたって下さい。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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