目指すは、元気な多数派

産経15年8月29日

日経15年8月24日

今日の本津川(この数百㍍下流で、あばあさんがどんぶらこどんぶらこと流れてくる大きな桃を拾った)
健康で長生きをするには、食べ物、運動、生きがいが大切。私の家の周りでは、80代、90代で元気に一人住まいしている高齢者が結構いる。おばあさんが多いが、車で20分以内くらいのところに、息子夫婦、娘夫婦、あるいは孫などが住んでいて、それなりに目配りしていて、幸せそうに暮らしている。
産経新聞8月29日作家の久田 恵さんが「家族がいてもいなくても」というコラムを書いている。抜粋してご紹介します。
目指すは、元気な多数派
目下、高齢の方々の取材にあちこち出かけている。67歳の私もすでに高齢者にカウントされる身なので、話を聞いたり、調べたりすることが、自分のためになる。
というよりは、ようやく、自分の人生が落ち着き、1人で、あちこち行けるようになったのが、うれしくてたまらない。今が、人生で一番、いいときだわ、と思う。
でも、油断は禁物。いつまで元気でいられるか分からないしなあ、とも思っていた。
ところが、10年後は私も77歳で、20年後は87歳で…と、考えているうちに、あれれ?と思った。
四国で仲良くなった85歳の彼女も、「今が、人生で一番、いいとき」と言っていたなあ、と。いやいや、北海道の97歳の彼も「今が一番、いい」と言って、一緒にドライブをたのしんだしなあ、と。
どの方も別にお金持ちでもない。年金も高くない。これまでの人生が安楽だったわけでも、ずっと健康であったわけでもない。
でも、自立して楽しそうに暮らすこの方たち。なぜか、特別な方たちなんだ、と思い込んでいた。
ところが、である。
介護保険の利用状況の行政データを、よくよく眺めてみたら、75歳以上の要介護者は23%ですって。
これって、視点を変えれば、77%の人が介護のいらない方々なのね、ということになる。しかも、要介護って5段階あって、1とか2とかは、1人でもなんとか暮らせそうだし。
認知症の発症率も、85歳以上で27.3%ほど。それも、1人で暮らせる軽度の人から重度の人まで、かなり幅がある。
つまりは、80代以降の70~80%の方々が、まずまず元気に暮らしておられる、ってことなのだ。
私が取材をして、すごい、と感動していた人たちは、実は多数派。
なんとフツウの方々だったのだ。
そうか、ちょっと頑張れば、70~80%の元気な高齢者の側に私も行けるかも。20年後にも「今が、一番いいときよ」と言えそうかも。
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日本経済新聞8月24日の「経済教室」に国際医療福祉大学の高橋 泰(たい)教授が介護難民について書いている。その論文の最後の部分を抜粋してご紹介します。
北欧型の老い方や死に方を一つの手本に
若年人口の急速な減少と膨大な債務を抱える国家財政を考えると、「提供側の構造改革」だけでは不十分である。
筆者は、1人当たりの医療・介護資源消費量を減らすための「利用者の意識改革」のお手本が「北欧型の老い方・死に方」にあると考えている。
北欧では自らの口で食事をできなくなった場合、嚥下(えんげ)訓練は徹底的に行われるが、それでもダメならば無理な食事介助や水分補給を施さず、そのまま自然な形でみとることが一般的である。その結果、寝たきりになる前に亡くなることが大半であり、北欧には寝たきり高齢者はほとんどいない。
北欧では昔から、日本の施設のようなオムツ交換や食事介助はほとんど行われていない。
フランスでは、90年ごろまで高齢者に対して胃に直接栄養を入れる胃ろうが広く行われていたが、今日ではほとんどの人が食べられなくなったら諦めるというように劇的に終末医療が変わった。
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(感想・意見など)
私は、管をいっぱい着けてまで、ひとに多大な努力を強いてまで、延命したくはない。生き物は致死率100%が宿命である。そのことを肝に銘じて、生きている間は楽しく有意義に、ダメな時は自然な形であっさりと死にたい。ピンピン・コロリが理想である。
以上