『大世界史』★★★★★③

『大世界史』★★★★★
 いい本です。是非読んでください。世の中を「鳥の目」「魚の目」で見ることができるようになります。
『大世界史』★★★★★③
 日経16年1月13日
『大世界史』★★★★★③
 YAMADAアウトレット館
『大世界史』★★★★★③
 旧コジマ高松店→中古店
『大世界史』★★★★★③
 宮脇書店中央通り店→2nd STREET
 中古店がどんどん増えている。ひと昔前には考えられなかった。世の中の需要増と粗利益がとりやすい店側の思惑が合致しているのだろう。





 『大世界史』★★★★★③


 非常にいい本です。抜粋してご紹介します。

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 佐藤 世界史をふりかえると、戦争や兵器が歴史を変えてきたことが見えてきます。

 池上 いまや世界最強のアメリカ軍も、自軍に犠牲者が出ることに非常に敏感になっています。戦死者を出さないで、戦争をするために開発されたのが、ドローン(無人飛行機)ですね。

 佐藤 先進国がどうして戦争を避けるかといえば、人命の価値が非常に高いからですね。ところが、イスラム原理主義を信奉する武装組織は、「聖戦」という概念を持ってくることで、人命のコストを下げることに成功してしまった。戦士しても、殉教して天国に行けるのですから死を恐れない。

 池上 イスラエルがレバノンを攻撃したとき、現場を見てきた記者が感心していました。ヒズボラの拠点だけがピンポイントで攻撃されていて、周りはまったく被害を受けていなかったそうです。

 佐藤 戦場の経済学からすると、敵を殺さない方がむしろ効率的なんですよ。レーザーで相手の目だけを潰す。すると、その兵士を戦線から離脱させる分、余計に手間がかかるわけです。

 池上 そうですね。だから、非殺傷兵器の研究はずいぶん進んでいます。たとえば対人地雷。これは基本的には殺すためのものではなく、兵士の足が吹き飛んで苦しむような状態にさせるのが狙いです。すると、周りの兵士が二人がかりで助ける。これで計三人、戦力から外すことができる。わざわざ威力を弱く調整しているのです。

 佐藤 ドローンの発展によって、兵器の体系もまったく変わるはずです。中国がいくら空母をつくっても、日本が強力なドローンを開発してしまえば沈められる。ここで面白いのは、中国もそれがわかっているはずなのに、それでも空母の建造を止められないことです。

 池上 帝国海軍の大鑑巨砲主義と同じですね。

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 佐藤 私は、この2015年は、という人類史最大のパンドラの箱が開いてしまった年だと考えています。今後、世界中に核が拡散する恐れがあります。
 きっかけは、米英独仏露中の六か国とイランとの間で結ばれたイラン核問題に関する合意です。

 池上 「新・核の世紀」の幕開けですね。

 佐藤 いずれNPT(核拡散防止条約)体制は崩れると思います。イランの核保有をきっかけに、数年後には核拡散がおきるでしょう。大きいのは、サウジアラビアとパキスタンの秘密協定の存在です。

 さらに恐ろしい事態があります。いま、世界のインテリジェンス・コミュニティが最も恐れているのは「イスラム国」が核を持つ可能性です。その技術を誰が提供するかと言えば、パキスタンです。

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 池上 世界史をふりかえって、今日のような国際社会の始まりがどこにあるかを考えてみたい。世界史の教科書には、1648年のウエストファリア条約のことが出てきます。これは、「三○年戦争」というヨーロッパの長い戦争を終わらせるための条約です。

 三○年戦争は、まずカトリックとプロテスタントの宗教戦争として始まります。「ハプスブルグ家対フランス・ブルボン家」という意味合いをもったために、ヨーロッパ中に戦火が拡大します。さらには、イスラムのオスマン帝国も介入し、プロテスタント同士、カトリック同士でも争うようになり、収拾のつかない事態になりました。

 1648年、この戦争を終わらせるための講和会議が、ドイツ北西部のウェストファリア地方で開かれ、締結されたのが、ウェストファリア条約と呼ばれるものです。

 この条約の結果、宗教戦争は終結し、神聖ローマ帝国内の領邦国家も含めて、それぞれの国が内政権と外交権を持つ主権国家として認められました。現在のネーションステート(国民国家)の基盤をつくる条約になったのです。現在の国際法の原型もここにあり、国民国家の原型もここにあり、世界史を考える上で重要な条約です。

 佐藤 そのウェストファリア条約と新しい体制は、三○年戦争で、ヨーロッパが大いに疲弊して、「戦争はもう懲り懲り」となったからこそ生まれた、というのが大事なポイントですね。戦場となったドイツは、大いに荒廃し、人口も激減した(注:地域によって人口の30%~90%が失われた)といわれています。

 それと、もう一つ、コペルニクス革命という、人々の世界観を劇的に変化させる出来事が重要ですね。

 プロテスタントは、「上」「下」を区別する天動説の世界観とは異なり「神の居場所は心の中だ」としました。これなら、地球が「球体」であっても、問題は生じないからです。

 池上 それに対して、「イスラム国」などのイスラム過激派は、「神の主権」を主張している。神なら間違えない、こういう考えにも基づき、シャーリア(イスラム法)を絶対視します。

 ウェストファリア条約をきっかけとして「人権」という概念が出てきた。これは画期的だった。

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 池上 教育は、必ずしも無色透明で中立的なものではなく、国家のあり方と深くかかわっていますね。
 たとえば、オスマン帝国崩壊後のトルコの近代化においては、文字の表記を根本から改めた

 佐藤 表記法は、国家にとって非常に重要な問題です。
 たとえば、中国共産党はなぜ画数が少ない簡体字にしたのか。表向きは、識字率を上げるためですが、その本質は、国民からそれ以前の知識を遠ざけるためでした。繁体字を読めなくして、歴史を断絶させ、情報統制を行なったのです。

 ソ連ナチスドイツも同様です。

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 池上 過去、アフガニスタンに介入して無事に済んだ国は一つとしてありません
 たとえば、1842年には、イギリス・インド連合軍が、アフガニスタン兵の襲撃を受けて、1万6000人が全滅する事件が起きました。一人だけが「お前は生かしておいてやるから、部隊が全滅したことを本国に伝えろ」と釈放されたと言いますから、完敗です。
 以降、イギリスでは「アフガニスタンには手を出すな」と言われるようになりました。

 しかし、この教訓は生かされませんでした。ソ連が介入して痛い目に遭い、ついでアメリカとNATO軍も侵攻して、泥沼にはまっています。

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 佐藤 人間が個人的に経験できることは限られていますが、歴史や小説で「代理体験」を積むことで、視野を広げることができます。この種の代理経験でしか学びようのないこともあります。

 日本は、歴史を学ぶ時間が諸外国に比べると圧倒的に短い。たとえば、ロシアでは、6年くらいかけて歴史を勉強します。

 池上 ある出来事が起きたからこうなって、その反作用としてこうなった、というような歴史の因果関係をこそ時間をかけて丁寧に学ぶべきです。


 池上 東工大の戦後史の授業では、水俣病の話をしています。学生は、皆、中学・高校で習った公害問題の復習だと思っている。
 そこで、「君たちは、こういう会社に入って、この立場になったら、さあどうする」と問いかけると、その途端、皆の顔色が変わります

 歴史に学ぶとは、そういうことです。「歴史を学ぶ」だけでなく、「歴史に学ぶ」のです。オリンパスや東芝にしても、同じことです。
 こういう事態に立たされた時、どうすればよいか、それを考える手がかりが歴史のなかにある、ということです。

 佐藤 歴史とは、判断基準として他に何も頼るものがない時に、それでも頼りにしうる何かなのです。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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