家康公の夢①

家康公の夢
 週刊朝日16年3月4日号
家康公の夢
 四国新聞16年3月5日 今日は啓蟄(けいちつ)、いよいよ春。
家康公の夢
 香東川河口近く。カモメが電線に泊まっている。





 家康公の夢①


 今の日本をつくった人物を5人挙げろといわれたら、その1人が徳川家康(1542-1616)であることは誰も異存はないであろう。私は高校生の時、山岡荘八の小説『徳川家康』全26巻を読んだ。同じころ吉川英治だったか?『三国志』『宮本武蔵』も読んだ。『三国志』『宮本武蔵』はある意味痛快なところもあったが、『徳川家康』は重苦しかった印象が今も強い。

 なにしろ「忍耐、忍耐」の人生である。織田家の人質になり、今川家の人質になり、今川義元亡き後は、織田信長と同盟を結んだが、捨て駒のような扱いを受けた。信長亡き後は秀吉の下で忍耐し、秀吉の死後1600年の関ヶ原の戦いののち1603年江戸幕府を開いた。

 幕府を開いたものの豊臣家という権威は残っていた。「偃武(えんぶ:戦争がやみ世の中が治まること)の理想を実現するためのシステムづくりに腐心し、1615年大坂夏の陣で豊臣家を滅ぼし、それを見届けて翌1616年75歳で亡くなった。

 応仁の乱以降150年の戦国時代に終止符を打ち、幕初・幕末の一時期を除き約250年間の平和をもたらした


 週刊朝日3月4日号に徳川宗家19代目の徳川家広さんが家康公について語っている。抜粋してご紹介します。


 400年後にみのった家康公の夢
 「第二の秀吉を封じ込める」


 徳川家康にとって、家臣団と大名各家は、あくまでも統治の道具である。
 道具がいくら優れていても、使い方を誤ってしまっては欲しいものは得られない。では家康はいったい、幕藩体制という「道具」を用いて、どのような政策を実施して「偃武」の理想を実現しようとしたのだろう?

 これを理解するには、関ヶ原の戦いが終わった直後の、家康と近臣たち、さらに信頼できる諸大名が何を考えていたかを理解しなくてはならない。

 「二度と豊臣秀吉のような人物を登場させない」。これに尽きるであろう。
 秀吉のような大天才の梟雄(きゅうゆう)が再び暴れ回ることは、どうしても避けなくてはならない。

 社会の底辺から乱世を駆け上がって位人臣を極める大出世を遂げ、無数の美妓をはべらせ、空前の贅沢で世間を驚かせ、かつてない大軍で中国に襲いかかった秀吉は、日本男児の夢を生ききったと言っても過言ではない。

 そういうことが可能だと分かった以上、自らを恃(たの)む者は必ず秀吉の真似をしようとするであろう。それだけでも民衆支配にとっては大打撃なのである。


 では、第二、第三の秀吉が生まれないためには、どうすればよいか?

 一つには、朝廷も幕府も寺社も揉めないこと、武家も公家も僧侶も神官も争わないことである。3種の法度(武家諸法度、禁中並公家諸法度)が「元和偃武(げんなえんぶ))」の骨格なのは、これら日本社会のエリートが争うことを未然に防止する仕組みだったからだ。士農工商の身分制も、乱世を終わらせ秩序を再建するには不可欠だった。

 だが、秀吉という怪物が現に出現し、暴れ回った後の日本では、単に身分秩序を整え、その秩序の頂点に調和が保たれるだけでは不足である。能力のある者は、どれだけ上から抑えつけても、必ず頭角を現す。秀吉後の日本では、血統原理の馬鹿馬鹿しさ、あまりにも明らかではなかったか。

 これは言葉を変えれば、身分制と能力主義を同居させなくてはならないということでもある。言うは易し、行うは難し。

 そこで家康は何をしたか?

 遠い未来を見据えて、武士たちに論語を読ませるようにした、というのが私の理解である。孔子は自ら「私は卑しい身分の生まれで、若い頃には様々な職を転々とした」と語っている。だが、そのような孔子の人格と識見に惹かれて弟子たちはどこまでもついていくし、王侯も取り敢えず会ってはくれる。血統の貴賤以外の論理が、論語には息づいていた

 江戸時代が現代とよく似ていると感じるのは、この政策が根付き、成功した証だと思う。
 家柄や財産は大事だが、能力と人柄も同じくらい大事安定的でありながら流動的な日本の源流は、家康が孔子を、秀吉に対する「解毒剤」として採用したことにあった


以上


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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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