「巷の噺」には真理が詰まっている

小学6年生(12歳)の哲学者
恐るべし。この歳で人生の真理をわきまえている。

隣に2人の同級生がいるが、彼らもひそかに「確かに!」と賛意を表している。

とにかく無駄に「うるさい!」らしい。AGREEMENT。

向かって右側のおばちゃんは米軍人と結婚している。

1000ドル(約10万円)のプレゼントの約束で1500ドル(約15万円)のネックレスを買ったことで、離婚騒ぎになっている。

アメリカ人はおカネに細かい。旦那が財布のひもを握っている。おばちゃんは「聞いてないよー」「知らなかったよー」

「巷の噺」には人生の真理が詰まっている
テレビ東京系、笑福亭鶴瓶の『巷の噺(チマタのはなし)』には時折人生の真理が詰まっている。巷の素人の話が抜群に面白い。テレ東はこの種の番組に強い。5月25日(水)0:12~は特に面白かった。
アメリカの軍人と結婚している関西のおばちゃんの話も面白かった。私は、日本の女性の地位が世界で何番目たらゆう調査はほとんど信じていない。この種の調査で家庭の財布の紐をだれ握っているのか?という設問を見たことがないからである。
日本では「官庁の中の官庁」といえば財務省である。他の役所は勿論、3期や5期勤めた国会議員でも全く敵わない。諸外国でも同じはずである。財布の紐をにぎっているものが一番強い。
2012年7月18日のブログ「アメリカの専業主婦」を以下に再録します。
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恐らくは30年以上前に読んだ犬養道子さんの著書「アメリカン*アメリカ」からこころに残ったエピソードを抜粋してご紹介します。
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世界じゅう、およそアメリカの資本の入る場所で知らぬ者はない大企業。
その、東京支店長夫婦がいちど、わが家の階下半分にしばらく住んでいた。四トントラックが二台も来て、実にみごとで品のよい家具調度を一日がかりで家の中にはこびこんだ。秘書も運転手もメイド二人もやってきた。
奥さんはおよそ実業家の婦人タイプではなく、少々病身で、いつもうちにいた。もちろん、身のまわりは中々ぜいたくだった。
最初の月末が来た。
何だか、階下で、奥さんの英語とメイドの日本語及びあやしい英語と、若い男の日本語とのいりみだれる声が十分もしたと思ったら、遠慮深くてめったには階上のわれわれのベルを押さない奥さんが、やけにベルを押して、私に会いたいと昇って来た。少しほっぺたを紅くしてこうたのんだ、「四百円貸していただけまいか」
「ついでのことに、ちょっと階下に来て、アサヒ(朝日新聞)の集金人に、来月からは、夫の会社に行って、夫か夫の秘書に直接、請求してほしいと言って下さい。このわたしは、職業を持っていないし(親からもらった財産もないし)つまり一文もないんですからね。メイドにそう言わせたら、集金人はご冗談でと言って、笑ったのよ。笑いごとではありません。私には三百円だって百円だってないんですから、ね!」
私は、職業を持つか財産を持つか――言いかえれば自己の経済的独立をしている女――以外に、アメリカの女は、富豪の細君といえど、財布の紐と縁遠く暮らしていることをすでに知っていたから、「ご冗談を」と言わなかった。
階下でしびれを切らせている集金人には、私が四百円をたてかえて支払った。少々事情の呑みこめて来た集金人はあきれて物も言えず、事情の分かっている私すら、少々いやになって来た。
やっとのことで階上に戻ると、面白がっていきさつを眺めていた母が言った、「かわいそうなもんだね、あの奥さんは見た眼には立派に暮らしているが、ポケットの中には百円もないんだね。まあ日本の主婦と違うこと!自分がかせいだのでもない主人の月給を袋ごと手に入れて、まるで自分のお金みたいな顔して、その袋の中から、ハイ今日は百円、ムダ使いしちゃ駄目よなんて言いながら、主人に渡すことの出来る主婦は幸いだねえ。
だんだんわかって来たわ。あのリュウとしたミスタAが、必ず土曜日には奥さんと一緒に買出しに行くのは、奥さん孝行のサービスじゃないんだよ、奥さんにはお金がないからなのよ。奥さんには財産管理をさせないからなのよ」
その通り、と私は答え、急におかしくなって、母と二人で吹き出した。
以上