ペルー情勢がやっと分かった

ペルー情勢がやっと分かった
ペルー情勢がやっと分かった
 正論2016年8月号
ペルー情勢がやっと分かった
 讀賣新聞16年7月9日
 世界を見るとき、人種差別意識が通奏低音のように流れていることを忘れてはならない。
ペルー情勢がやっと分かった
 参議院選挙投票のあと近くの神社の夏越祭(なごしまつり)に行った。去年茅の輪(カヤの輪)を知り、今年夏越祭体代(形代:かたしろ)を知った。私の母親も知らなかったのだから無理もない。
ペルー情勢がやっと分かった
 左の袋に右の体代が3枚入っている。





 ペルー情勢がやっと分かった


 日本の神道は不思議な宗教である。宗教とも言えないかもしれない。開祖がいない。教義・戒律はない。経典もない。強いて唯一の教えと言えるのは「清浄であれ」ということくらいか。山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)。山、川、草、木、岩、滝……あらゆるものに神仏が宿っていると感じている。八百万(やおよろず)の神々がおわします国。

 日本人は大陸から色々なものを輸入しわがものにしてきたが、宦官(かんがん)纏足(てんそく)などは排除した。奴隷も嫌った。日本人の心性に合わなかったのだろう。むごいと感じたのだろう。そういう点、日本人は世界でもユニークだと思われる。


 新聞・雑誌・テレビなどでペルーの情勢が報じられるが、どうもよく分からなかった。「正論」8月号高山正之さんの「折節の記」を読んで、霧が晴れたかのように良く分かった。抜粋してご紹介します。


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 日本とペルーの出会いは明治5年に始まる。その年、横浜港に入ったペルー船マリア・ルス号から積み荷の苦力(クーリー)が逃げ出し、英国艦に助けを求めた。
 英国は揉めごとが大好きだ。日本政府に彼を引き渡し、ついでに「奴隷廃止のいまどき、奴隷船が大手を振っている」とけしかけた。

 外務卿は曲がったことが嫌いな佐賀の藩士、副島種臣。法務卿は同じく江藤新平だった。ペルー船の船長を拘留し、苦力を解放すればお前を許すと言った。

 苦力は米国のラッセル商会の商品で、船は移送だけが仕事。船長はすぐOKして231人の苦力は船底の牢から解放された。
 大損したラッセル商会は怒った。ペルーを通して日本政府に賠償請求訴訟を起こした。

 国際法廷はロシア皇帝アレクサンドル2世を裁判長にして開かれ、日本は榎本武揚を送って非道の苦力貿易を批判した。
 米陣営は「苦力は奴隷でなく契約労働者だ」と主張した。

 しかしロシア皇帝はルーズベルトの義父、ウォーレン・デラノが仕切るラッセル商会が阿片と奴隷貿易で儲ける悪徳商会と知っていたから、日本の勝ちを認めた。

 ペルーには多くの苦力がいた。彼らは日本の勇気に感謝したが、苦力を使う側のスペイン人は奴隷補給を絶たれて日本を恨んだ。

 報復のときは70年後に来た。日本が真珠湾を攻撃すると米国は日系人をマンザナの収容所に放り込んだ。ペルーにも声をかけ、ペルー人は邦人1770人の財産を没収し、米国の収容所に送った。白人たちの報復はいつも陰湿だ。


 それから半世紀、ペルーの大統領選にアルベルト・フジモリが立ち、驚いたことに対抗の白人候補を破って当選してしまった。
 なんで驚きかというと、ペルーを含む中南米諸国はどこも白人が支配階層にいて、彼らがインディオを犯して生ませたメスチソが中間階層を占め、その下に黒人奴隷と苦力の末裔、それと日本人移民が最下層を構成していた。

 フジモリは白人の血の入らない最下層に属していたが、彼を非白人層が支持し、それにメスチソたちが相乗りした結果だった。

 大統領になった彼はまずメスチソたち3万人を殺した共産ゲリラ、センデロルミノソを退治し、次にベラウンデ家とかプラド家とかこの国を支配してきた白人が独占する国会の改革に乗り出した

 世に大統領のクーデターといわれる荒療治で、軍隊をして国会を制圧し、上下両院182人をクビにし、改めて120人定数の1院制に改めた。さらに国民所得が100㌦なのに毎月1千㌦出ていた議員年金を廃止した。

 白人の縁故で占められた役所にもメスを入れ、新たに公務員試験を導入する一方で、例えば3500人いた文部省は700人に人員を削減し、その分を学校建設に回した。フジモリ治世のころ、毎週、どこかで学校が開校されていたとエクスプレソ誌が伝えていた。

 おかげでインフレ率2千%の破綻財政は5年で立ち直った


 これに白人が危機感を持った。フジモリ再選のとき彼らは国連事務総長で名門のデクエアルを担いだ。出馬宣言の日、彼はヘリでチチカカ湖に降り立った。インカの王がその湖から生まれたという神話をなぞったものだ。
 これにメスチソが反発した。そのインカ王も民も殺したのはお前らスペイン人ではないか。フジモリは記録的な圧勝で再選された。

 フジモリはその後、汚職と無辜の市民虐殺の嫌疑で捕まった。汚職を追放した大統領が汚職をするわけもない。それは無実となったが、共産ゲリラを退治するとき、無辜の民を巻き添えにしたという言いがかり訴因は白人判事によって認められた。報復はなった。

 今回の大統領選に白人側は東欧生まれのユダヤ人クチンスキを立て、フジモリの娘ケイコを何とか倒した。日本の新聞報道には一切人種が出ないから、読んでいてもさっぱり判らない


以上


 

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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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