『 コンビニ人間 』

『 コンビニ人間 』
 (文藝春秋社) 1404円
『 コンビニ人間 』
 朝日新聞16年8月10日
 サークルK、サンクスはファミマと経営統合するため約千店を閉店する。コンビニは3強に絞られる。
 セブンは最後の空白地沖縄県にいよいよ出店する。コンビニ国盗り物語の最終局面。
『 コンビニ人間 』
 このコンビニは、片側が工芸高校、もう一方が小学校に面していて、少し奥まった住宅地にある。はやるとは思えなかったが、昼間見る限り結構はやっている。近くに適当な商店がないことも大きい。
『 コンビニ人間 』
 中心部の児童数減少のため四番丁小学校、日新小学校を廃校にして、二番丁小学校に統合、建て替えた。廃校にした跡地はいずれも有効利用されているとは言えない。
『 コンビニ人間 』
 塀に負けじと伸びたユリ。3㍍はある。





 『 コンビニ人間 』


 最新の(第155回)芥川賞受賞作である。出版されてすぐに買った。芥川賞受賞作だからではない。買った理由は2つある。ひとつは昔からコンビニに興味があること、もうひとつは、よく個性的でなければならないと言われるが、「普通」でないひとにとっては「マニュアル」通りに行動することは救いになるのではないかと考えているからである。


 私は松山での勤務が長かったが、松山市周辺には40年ほど前から「ナイトショップ○○○○」というのが数店あった。深夜まで仕事をした帰りや、早朝出勤の際朝食(サンドイッチと缶コーヒなど)を買うのによく利用した。置いている商品は、一般的なナショナルブランドやローカルブランドであった。いつ行っても開いているのがメリット。商品に特に魅力はなかった。コンビニの登場とともに姿を消した。

 広島時代には、借り上げ社宅近くの広島発のコンビニ「ポプラ」をよく利用した。ポプラの特徴は、お弁当のご飯を買った時にジャーから詰めてくれるというものであった。私はそれにメリットは感じなかった。置いている商品は一般的なナショナルブランド。商品に特に魅力はなかった。現在はローソンと資本業務提携しているようである。

 商品に魅力があるのは、やはりセブン-イレブン。次はローソン、ファミマの順。少し古い資料であるが、セブンの日販は約66万円ローソン54万円、ファミマ52万円、サークルK45万円である。商品力の差である。


 私は30数年前からのセブンウォッチャーである。どんどん商品力を上げているのに驚いている。20年くらい前になるか当時の鈴木敏文会長だか社長だかが、「将来セブン(プライベート)ブランドを5割以上にする」と言っているのを何かで読んで、「またまたー」と思っていたが、実現している。いまやなくてはならない業態にした。たいした会社である。


 私は学生時代に、就職したら恐らく一社か二社で職業人生を終える、それでは世間が狭くなると思って20種類以上のアルバイトをした。それは正解だったと思っているが、今でも残念なのがコンビニのアルバイトをしたことがないこと。何年か前に、金銭的なことではなく、半年でもコンビニのアルバイトをしてみようかと本気で考えたことがある。結局、環境が許さなかったが、今でも残念である。

 住友商事系のスーパー「サミット」(関東地方に展開)を作った荒井伸也さん(安土敏:あづち・さとし名で小説も書いている)は、小賢(こざか)しい職人気質(かたぎ)を目の敵にしていた。それよりもマニュアル化して均一な作業をした方が店舗全体の効率が上がると考えていた。

 コンビニにもそれは言える。日本のコンビニ1号店はセブンーイレブン豊洲店で1974年のこと。それ以来40数年オペレーションは磨きに磨かれているはずである。それに興味がある。この本は、その興味を幾分満たしてくれる。


 また、私は第二の人生で十数人のひとを雇ったが、若いひとが多い。中には「普通」でないと思われる不器用なひともいた。確かにそれぞれが自分なりの確かな考えをもって行動できればそれがベストではあるが、それができないひとがいるのも事実である。その場合は、次善ではあるが、マニュアル通りに行動することによって「普通」でいられるこの本の主人公恵子も、マニュアル化されたコンビニ店員でいるときだけは自分が「世界の正常な部品」でいられると安心している


 お盆前にお寺さんが拝みに来られた。時間は○○日の「午後」というだけではっきりしていなかった。私はこういうのがすごく苦手である。そこで『 コンビニ人間 』を読んで待つことにした。1時間半ほどで読める。

 お寺さんは意外と早く来られた。お坊さんのあげるお経を聞きながら、私は「自分は普通だな」と思った。意味の分からないお経を「こんなもんだ」と納得しながら聞いている。ちゃんと世間?と折り合いをつけていられる。気にしていなかったが「普通」であることに感謝である。


以上


 

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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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