『問題は英国ではない、EUなのだ』★★★★★

『問題は英国ではない、EUなのだ』
 (文春新書) 896円
『問題は英国ではない、EUなのだ』
 残念!
『問題は英国ではない、EUなのだ』
 毎日新聞16年10月17日
 ヤモリのヤーちゃんはここ数日見なくなった。しかし、蚊にはまだ悩まされている。「哀れ蚊」という言葉は初めて知った。





 『問題は英国ではない、EUなのだ』★★★★★


 現在、世界が新たな歴史的転換点にあることは疑いようがない。それをどのように解釈し、今後どのように対処すべきなのか?この書名がこの本の内容を表しているとは思えない。しかしある程度本を売るためにはこういうキャッチィーな表題を付けざるをえないのかもしれない。内容は非常に示唆に富む。多岐にわたるので、以下にランダムに抜粋したい。


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 分散・不一致に向かう先進諸国

 先進諸国のあり方が一致していくという暗黙のモデルが、経済と社会のグローバル化という展望の根底にあったわけですが、それが各国の推移の現実の前で徐々に解体されています。

 出生率という人口学的な指標の数値が数十年前から国によって非常に異なっており、今や各国それぞれ個別の運命へと導いています。フランスイギリスは、人口が増えもしないが減りもしない、一応バランスのとれた状態にあります。

 日本は高齢化していますが、何よりも国民の同質性の維持を気遣うがゆえに、人手不足の問題の解決をテクノロジーに求めています。

 ドイツでは年々、人口ピラミッドに大きく空いた穴を埋めるのに若年層の3分の1が不足しているのですが、日本と違って大国にふさわしいパワーを持つことを諦めず、信じがたいほど冒険主義的な労働力輸入政策に打って出ています。自国周辺のいたるところで国境と国家の無意味化を促しているのです。

 中国は半先進国にすぎません。しかし、先進各国、特に、アメリカで起こってきている潮流の反転があの国を苦境に陥れる可能性はあります。


 ロシア脅威論は幻想にすぎない

 ロシアは、もはや何も恐れていません。とはいえ、ロシアがかつてのソ連のような強大な帝国になるわけではありません。人口が1億4000万人で日本と同規模である以上、大帝国化など不可能なのです。
 ロシアは、中級のパワー、安定的で保守的なパワーとして再擡頭(さいたいとう)しているのであって、西側諸国のロシア脅威論は幻想です。


 中国超大国論は神話にすぎない

 「中国の将来には悲観的にならざるを得ない」と常に指摘してきました。「中国は超大国」というのは神話に過ぎません。高等教育の進学率が5%未満で、他国と比べて極端に低い水準にあります。これだけでも、中国は、他の先進国より半世紀ないしは1世紀遅れていると言えるわけです。

 もう一つの理由は、出生率にあります。中国の出生率は急激に低下しました。女子100人に対して男子117人で、出生の男女比が異常なのです。人口学者であれば、中国の将来を楽観視などできません。

 経済にもアブノーマルな点が見られます。GDPに占める「総固定資本形成(インフラ設備などの公的および民間の設備投資)」が40~50%と異様に突出しているのです。この過剰な設備投資が、いつバブルの崩壊を引き起こしてもおかしくありません。

 中国の経済政策は、中国みずからによって選択されたものではありません。むしろ西洋の資本主義、多国籍企業の道具に成り下がっています。



 米露こそ日本のパートナー

 日本のパートナーにふさわしいのはアメリカロシアです。ロシアとの関係構築は、中国の存在を考えれば、地政学的に理に適っています。ただそれをアメリカの尊厳を傷つけない仕方で進める必要があります。

 一方、アメリカには、もはや「世界の警察官」を独力で担えるだけの力はありません。その意味では日本は自主的な防衛力を整えつつ、アメリカを助けるために、これまで以上に軍事的、技術的に貢献すべきです。

 これは「日本の軍国主義化」を意味するわけではありません。ヨーロッパから見て、日本のイメージは悪くありません。日本人自身が自分たちの国が危険な国であると必要以上に思い込んでいるようです。

 安全保障は、過去の歴史とは区別してプラグマチックに考えるべきです。確かに明治以降、欧米を模倣して日本も軍事大国化しましたが、日本の長い歴史から見れば例外的な一時期です。むしろ総体として平和の歴史でした。とくに江戸時代には、250年もの間、戦争をせずに文化と経済を飛躍的に発展させたのです。世界的にも稀なことです。


 日本の唯一の問題は人口問題

 そんな日本にも、一つだけ問題があります。人口問題です。日本の最高の長所は日本の唯一の問題にもなりえます。それは完璧さに固執しすぎることです。少子化を放置し、移民も受け入れないとすれば、日本社会そのものが存続できません。

 移民を受け入れない日本人は排外的だと言われますが、実は異質な人間を憎むというより、仲間同士で互いに配慮しながら摩擦を起こさずに暮らすのが快適で、その状況を守ろうとしているだけなのでしょう。その意味では日本は完璧な社会です。

 しかし出生率を上げるには、女性により自由な地位を認めるためには、不完全さや無秩序も受け入れるべきです。


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 いま、中東で進行している事態は、イスラム教スンニ派の盟主であるサウジアラビアの崩壊です。今後、スンニ派地域は国家崩壊のゾーンになるでしょう。もし私が日本人ならば、これから安定の極になるであろうシーア派国家・イランと良好な関係を築きます。


以上

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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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