世界一幸せだった子供達

世界一幸せだった子供達
 週刊新潮16年11月3日号
世界一幸せだった子供達
 家から150㍍ほどの所に幼稚園がある。
世界一幸せだった子供達
 時折、子供たちや先生の声が聞こえてくるが全く気にならない。むしろ元気が出る。
世界一幸せだった子供達
 香東川の河川敷で遊ぶ幼稚園児。
世界一幸せだった子供達
 「ふれあい~文化祭」の舞台を見ている子供たち。
世界一幸せだった子供達
 燐家の夏みかん?が少しずつ大きくなっている。




 「しろがねも こがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも」 (山上憶良:660?~733?)


 週刊新潮11月3日号、藤原正彦さんの「管見妄語」を抜粋してご紹介します。


 世界一幸せだった子供達


 子供好きは昔から日本人の一大特徴であった。幕末維新の頃に我が国を訪れた欧米人の著作はそれを物語っている。

 米人モースは『日本その日その日』(講談社学術文庫)の中で、「日本は子供の天国である。世界中で日本においてほど子供が親切に取り扱われている国はない」としきりに繰り返している。

 実際、何人かの欧米人が「日本の道は子供達の遊び場である。遊びに没頭していても危険がないのは通行人、人力車、荷車などが、子供達のコマを踏んだり羽子板や竹馬の邪魔をしないようよけて通るから」などと記した。またある人は、道の真中に座った丸々とした赤ちゃんを、疾走してきた馬車の馬丁が馬車を止めて抱き上げ路傍に移したりする光景に目を見張った。

 いたずらをしたりダダをこねたりする子供を西洋のように鞭で打つことはもちろん、叩いたりすることもめったにしないのを見て、甘やかしていると見る人々もいた。しかしよく観察すると、西洋の庶民の子供より行儀はいいし、10歳になる頃までには両親を敬愛し年寄りを尊敬する立派な人間になってしまう。こんな例は世界のどの国を見てもない、と感嘆したのだ。

 アリエスの『子供の誕生』(みすず書房)には、17世紀の頃まで、西洋では7、8歳までの子供は動物と似た扱いであり、特別の愛情を注いで育てる対象ではなかったとある。そんな時代からさほど隔たっていない幕末維新だから、欧米人は一層、日本人の子供崇拝ともいうべき子供への愛情や、世界一幸せそうに往来で遊び回る子供達の姿に瞠目したのだろう。


 近年、大都市を中心に保育園や幼稚園の建設が住民の反対運動により中止に追い込まれている。近隣住民が「うるさい」とか「土地の資産価値が下がる」と考えるらしい。昼間は子供のにぎわい、夜は静か、というのは私の理想なのだが。反対運動があっては運営が難しいと業者は断念してしまうという。今年だけで10数件に上る。

 こんな状況では「少子化ストップ」も「一億総活躍社会」も絵に描いた餅だ。はしゃぎ回る子供の声がうるさいとか、ちょろちょろ動き回る子供が目障り、と感ずる日本人が多くなったらしい。我が国の誇るべき伝統がいつ頃からどうして消えてしまったのだろうか。


以上

 

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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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