われわれは破れた靴下である

福岡県玄界灘の相島(あいのしま)は猫島として有名。約100匹の猫がいる。

この白い猫は、島一番のモテ猫。8匹のオスが求愛している。

まさに「猫可愛がり」

トビやオス猫に狙われているので、母猫は目が離せない。

(文春文庫) 20数年前に単行本(平凡社)を読んで感動した覚えがある。日本のサル学はたいしたものである(下巻のカバー写真がハヌマンラングール)。

私の聖書
われわれは破れた靴下である
11月20日(日)19時30分からのNHK「ダーウィンが来た!」がよかった。「潜入!秘密のネコワールド」。福岡県沖合8キロ、船で20分の相島(あいのしま)の猫たちを追ったもの。
猫たちが可愛かったのは勿論、2つの点を再確認した。
島一番のモテ猫(白)は8匹のオス猫から求愛されていたが、最終的にメス猫が選んだのは「よそ者の家猫」であった。
中学生のときに読んだ本に、「われわれは破れた靴下のようなものである。近親者同士が結婚すると、破れた箇所が同じような場所にあり、欠陥が発現しやすい。ある程度離れた者同士だとお互いが破れをカバーする可能性が高いので、離れた者同士が結婚したほうがよい」、と書いてあった。
その後、「破れた靴下」という表現は聞かないので、何か不都合があるのかもしれないが、私は信じている。16年11月3日のブログ「女と男」で、「女は男の免疫の型が、男は女の排卵期が、においでわかる」(竹内久美子さん)ことをご紹介した。
われわれは、無意識のうちに、自分と違った(免疫の)型の持ち主を選ぶように出来ているようである。
ウソかまことかは分からないが、男が平家の落人の里に迷い込んだら、夜、「お情けを」と言って、妙齢の美女が同衾してくるという話を読んだことがある。アラスカのイヌイット(エスキモー)も、女性が同衾して歓待することがあるという話を聞いたことがある。経験的に、狭い仲間内で、血が濃くなると不味いことが起こり易いことを知っていて、そうするのかもしれない。
もう1点は、憂鬱な話ではあるが、〈子殺し〉のことである。
私が動物の〈子殺し〉をはじめて知ったのは、立花隆さんの「サル学の現在」による。こうある。
「京都大学霊長類研究所の杉山幸丸教授は、世界ではじめて、サルの〈子殺し〉行動を発見した人として、国際的に有名である」「子殺しというショッキングな事実が発見されたのは、インドに広く生息しているハヌマンラングールというサルにおいてである」
その後、ライオン、チンパンジーでも同じようなことがあるのを知った。ネコも同様であるのは、この「ダーウィン」で知った。母猫が目を離した隙に子猫がオスに殺された。
なぜ、オスは子殺しをするのか。自分の遺伝子を残すためである。
以前、毎日新聞仲畑流万能川柳の秀句、「赤ちゃんの泣き声で乳張る不思議」(さいたま ぴっぴさん)をご紹介した。
メスは授乳の対象がいなくなると発情し、オスを受け入れる。
遺伝子の最大の課題は、「生き続けること」。できれば永遠に生き続けたい。しかしそれは不可能(ガンも老化が原因)。だから、コピーを作ろうとして、「生殖(うみふやすこと)」に励む。われわれは、遺伝子にかなりの部分操(あやつ)られている。
以上