円谷幸吉さんにまつわる話

円谷幸吉さんにまつわる話
 讀賣新聞16年12月15日
円谷幸吉さんにまつわる話
 産経新聞16年12月20日
円谷幸吉さんにまつわる話
 香東川の鳥たち。
円谷幸吉さんにまつわる話





 円谷幸吉さんにまつわる話


 昨年末、円谷幸吉(つぶらや・こうきち)さんにまつわる新聞記事を連続して見つけた。あれから50年近くになろうとしているのに、円谷さんの思い出は多くの人のこころに残っている。抜粋、一部編集してご紹介します。



■ 讀賣新聞16年12月15日「時代の証言者」より。


 円谷幸吉さんの代わりに


 《宗 茂(しげる)・猛(たけし)兄弟は1968年(昭和43年)、大分県臼杵市立西中学校から、県立佐伯豊南高校へ進むことになる。2人の進路が固まりつつあった中学3年の正月、衝撃的な事件が起きる》

  僕らが15歳になった誕生日。その日に、東京五輪でマラソンを走った円谷さんが自殺したというニュースが流れたんですよ。

 《64年の東京五輪男子マラソンで銅メダルを獲得した円谷幸吉は福島県出身。故障などに苦しみ、メキシコ五輪を前にした68年1月9日、自衛隊体育学校宿舎の自室で、自ら命を絶った。享年27。「父上様、母上様、三日とろろ美味しゅうございました」で始まる有名な遺書には「幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」とあった》

  そのニュースを聞いて、「おい、円谷さんが自殺したけど、我々の誕生日だよな。これって、おまえら、俺の代わりに頑張れ、っていうことじゃないかな」と話したんですね。

  そういう話をしながら、2人で走ったという記憶があります。

  メキシコに向けて、もうこれ以上走れないということで亡くなった。非常に責任感の強い人だったんでしょうね。

 《円谷に関しては、ずっと後年にも忘れられない出来事があるという。91年に東京で行われた世界陸上選手権。旭化成陸上部の副監督になっていた猛さんは、最終日の男子マラソンで日本人初の金メダル獲得という偉業を達成した後輩の谷口浩美と歩いていた》

  雨天練習場みたいな所に婦人が一人、ぽつんとおられて。深々と頭を下げて、「本日はお疲れさまでした」って言われた。「あ、どうも」と答えたら、「円谷の姉です」と。僕と谷口はその場で固まって、「うわあ」と頭を下げたんですよ。あれには2人とも感動しましたね。

 谷口はその後、休暇の時に福島まで、円谷さんのお墓参りに行ってきたと聞いています。  (編集委員 川島健司さん)


........... ............ ..........


■ 産経新聞16年12月20日「1964東京」より


 ヒートリーの娘
 ローカル線の邂逅


 萩原正人は翌年、産経新聞への入社が決まっていた。内定者は全員、実習の名目で東京五輪の現場に配属された。

 20年後、国際カーレースの取材で英国に飛んだ。ロンドンの北西約150㌔、ウースターからバーミンガムへ向かうローカル線の車内で、メモ帳に目を通していた。

 隣から「ユアー、ジャパニーズ?」と声が飛んできた。セーターがよく似合う、若い金髪の女性がにっこりほほえんでいる。日本に、とても関心があるのだという。

 職業は看護師、名はルス・ヒートリー。父はマラソンランナーとして東京五輪に出場したのだと話した。エチオピアのアベベ・ビキラに続いて国立競技場に帰ってきた円谷幸吉を、最後のトラックで猛然と抜き去った銀メダリスト、あのベイジル・ヒートリーの娘なのだった。

 「父は日本が大好きです。日本から来た人を泊めたり、日本の話を私にもよくしてくれます。東京オリンピックのこと?もちろん何度も聞きましたよ。父にとって、一生の思い出なのでしょう」

 円谷は東京五輪の4年後「幸吉は、もうすっかり疲れ切って走れません」の遺書を残し、亡くなった。アベベもメキシコ五輪の翌年、自動車事故で半身不随となり、1973年に脳出血のため41歳の若さで急死した。

 その話になるとルスは「ええ、それも聞いています。とくにツブラヤは自分の最大のライバルだったし、とても悲しい思い出だったと言っていました」と話した。

 東京五輪の年に生まれたルスは「チャンスがあったら、私も日本に行ってみたい」と言い残し、小さな駅のプラットホームに姿を消した。


 ヒートリーは東京五輪後、何度も来日した。一昨年には円谷の故郷、福島県須賀川市を訪れた。円谷の兄、喜久造とともに円谷の墓に花と線香を供え、円谷が好きだったまんじゅうを食べた。そして、「なぜ表彰台で、円谷さんと話さなかったのだろう。ゆっくり話す時間があれば」と悔やんだのだという。  (別府育郎さん)


以上


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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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