「歴史」は嘘八百

「歴史」は嘘八百
 サンデー毎日17年4月2日号
「歴史」は嘘八百
 (東洋書林) 10260円
「歴史」は嘘八百
 1822年のフランスの奴隷船。黒い点は345人の奴隷。鍵、手かせ、足かせも描かれている。
「歴史」は嘘八百
 今日のサンポート高松。「ザ・ワールド」全長約200㍍、総トン数4万3千トン余、12階建て。世界で唯一のマンション型クルーズ船。客室ごとに所有者がいる分譲型の客船。分譲価格は億単位。
「歴史」は嘘八百
 書道パフォーマンスをしていた。
「歴史」は嘘八百
 盆栽の紹介所。高松市・鬼無(きなし)・国分寺地区は日本の松の盆栽のシェア7~8割を占めている。最近は外国人がよく訪れている。




  「歴史」は嘘八百


 歴史は勝者が書く。したがって、われわれが習っている「歴史」なるものは、勝者が自分に都合がいいように書いた嘘八百である可能性がある。少し視点を変えると、全く違って見えてくることも多い。

 サンデー毎日4月2日号本の紹介欄に、『コロンブスの不平等交換』(山本紀夫さん著、角川書店)の書評をドイツ文学者の池内 紀(おさむ)さんが書いている。抜粋してご紹介します。


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 物流のグローバル化がもたらした恩恵と犠牲を明らかにする


 遠いむかし、中学の「世界の歴史」でならった。「1492年、コロンブス、アメリカ大陸を発見」。

 新大陸からトウモロコシやジャガイモが旧大陸にもたらされた。かわってヨーロッパ人はサトウキビや牛や馬をアメリカへもちこんだ。いうところの「コロンブスの交換」。史上最初の物流のグローバル化である。以後、相互に欠けたるを補って両大陸が発展した――

 とんでもない。大違いだ。強力な軍事力を持つ国がグローバル化に乗り出すとき、どのような「不平等交換」に立ち至るか。それは物流にとどまらない。インカ帝国をはじめとする幾多の文明社会が滅亡した。ほんの数十年で人口が半減、いや十分の一にも減少した。

 そもそも「新大陸発見」がおかしいのだ。南北アメリカにわたり、大むかしから人々が住んでいた。土地に合う作物をつくり、平和に暮らしていた。トウモロコシやジャガイモが、もとからあったわけではない。気の遠くなるような永い歳月と知恵でもって、試行錯誤しつつ野生を少しずつ改良して栽培作物とした

 名もない人々がつくり出した。それは蒸気機関の発明や原子力の開発とくらべて、人間の生活のためにつくした貢献の点で、はるかにまさるヨーロッパの人口変化が示しているが、アメリカ大陸からジャガイモやトウモロコシという新しい食糧源を得たおかげで大幅な人口増が可能になり、歴史を大きく変えたのである。

 逆に旧大陸から新大陸にもちこんだサトウキビはどうか。砂糖生産は当時の最高収益産業であって、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス……列強がいっせいにとりついた。ヨーロッパ人の侵略とともに現地の人口が大きく減少していた。「それでは、ヨーロッパ人たちは不足する労働力をどのようにして補ったのか

 アフリカから奴隷をつれてきた。「新大陸の地域別奴隷輸入数」が表で示してある。18世紀だけで約600万人。奴隷船の平面図に見るとおり、詰めるだけ詰めた船内からして、ヨーロッパ人がアフリカ人を人間とはみなしていなかったのはあきらかである。少し視点を変えると、世界の歴史がどんなにちがって見えてくるか。 


 当書の語っていないことにも触れておこう。江戸幕府がとった鎖国政策につき、「国を孤立させた」「近代化の潮流から取り残された」などといわれるが、そうではあるまい。極めて賢明な政策だった

 哲学者カントは18世紀にヨーロッパの辺境から、地球のいたるところに「災厄の種」をまきちらす「文明国」の不平等と残虐をつぶさに見ていた。1795年刊行の『永遠平和のために』のなかで、日本が入国をオランダのみにかぎり、しかも「囚人のように扱って自国民との交わりから閉め出した」対処の仕方を力をこめて称賛している。


以上


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teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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