『君たちに明日はない』★★★★★

『君たちに明日はない』★★★★★
 『君たちに明日はない』シリーズの4と5(新潮文庫)。 594円と637円。
『君たちに明日はない』★★★★★
 通販はいいけど、段ボール箱の片付けが面倒。
『君たちに明日はない』★★★★★
 たぶんアヤメ。田んぼ脇で咲いていた。





 『君たちに明日はない』★★★★★


 垣根涼介(かきね・りょうすけ)さんの『君たちに明日はない』シリーズの4と5を続けて読んだ。12年前に第1巻が出て、2年ごとに続編が出版され、5巻で完結した。

 主人公の村上真介は、リストラ請負会社の面接官。私が会社を辞めて17年になるが、その少し前、1998年頃から私がいた会社もこのような会社を利用しだした。私自身は、この作品のように、個別面接は受けたことはない。早期退職年齢対象者全員を会議室に集めて、早期退職優遇制度の話を聞いただけである。私が辞めたのち頃から、個別にぎゅうぎゅうとやったようである。

 因みに、面接官は辞めさせるだけが能ではない。人事評価は、例えばS,A,B,C,Dなどの5段階評価が普通で、構成比は、5%、20%、50%、20%、5%などとなっている。削減目標が対象社員の2割の場合、D評価、C評価の人に辞めてもらい、SやA評価の人には残って活躍してもらうのがベストである。ところが往々にして、そううまくはいかない。SやAの人はどこにいってもある程度やれる自信があるのでこれを機会に割増し退職金をもらって辞めようとし、DやCの人はあくまでもしがみつこうとしがちである。


 私はこの作品を1巻目からすべて読んだ。リアルである。また、例えば、4巻目は、航空会社のAJA、証券会社の山三、楽器会社のハヤマ、ファミレスのベニーズを扱っているが、それぞれJAL、山一、ヤマハ、デニーズであると思われる。5巻目の化粧品会社コフレはカネボウか、家電会社セネシュはシャープ?公文書店は分からない。最後は村上真介自身の会社、リストラ請負業の日本ヒューマンリアクトである。

 日本ヒューマンリアクトは、社長の高橋が立ち上げて15年になるが、この種の会社の社会的な意義がそろそろなくなると考えて、余裕のあるうちに畳むことを社員に提案、余剰金三億円は社員に退職金として分配して廃業した。

 モデルとなった職種、個別企業の状況、その業界の現況がよく分かる。仕事とは何かについても考えさせられる。ほとんどの人が、40年~50年間、人生の大半を仕事に費やさざるを得ない。それだけに重い。


 著者の垣根涼介さんは、第5巻目の「あとがき」にこう書いている。

 「一話ぶんの話を作るために実際にその業界にいる人々に取材し、その取材を小説として起こす度に、自分の中に何事かの発見があり、それによって私の仕事観や社会観もまた変容していく……。十数年間ずっと『仕事とは何か?』を考え続けてきた意味は、今後の私にとっても大きな指針になると思っています」

 「ですが、そうやって色々と考えてきた仕事観や社会観も、結局は現時点での暫定(ざんてい)仕様でしかないのだろうと感じています。社会や人間関係が次のフェイズに行けば、これまでの考え方や方法論が通用しなくなってまた自分をリストラ(再構築)していかなくてはならない……それが、生きていくということなのでしょう」


 お薦め致します。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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