言ってはいけない官僚の真実②

言ってはいけない官僚の真実
 正論17年9月号
言ってはいけない官僚の真実②
 OB座談会(元外務官僚:宮家邦彦さん、元財務官僚:高橋洋一さん、元経産官僚:岸 博幸さん、元経産官僚:石川和男さん)
言ってはいけない官僚の真実②
 香川県立図書館の庭。常に誰かがメンテナンスしている。
言ってはいけない官僚の真実②
 香東川(こうとうがわ)の草刈り。川も常に誰かがメンテナンスしている。
言ってはいけない官僚の真実②
 今日の香東川潜水橋。台風5号の影響でまだ潜水橋は渡れない。明日には渡れるようになるだろう。早明浦ダムの貯水率は50%台であったが、平年並みの80%位まで戻る見込み。台風5号は恵みの雨をもたらした。
言ってはいけない官僚の真実②
 庭に咲いた野生の白ユリ。170~180㌢のが何本かある。何の花が咲くか楽しみで抜かずにいた。抜かなかくてよかった。





 言ってはいけない官僚の真実②


 昨日の続きです。かなり端折(はしょ)っています。いかにしょうもない問題を一部マスコミや野党が騒いでいるか、分かっている人は分かっている。それにしても、他に重要な問題がいろいろあるのに、日本のマスコミは酷い(野党はある程度仕方がない)。興味のある方は「正論」9月号をお読みください。


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 宮家 これまでの日本の官僚は、行政的な部分と政治的な部分を非常にうまく使い分けてきました。そうした観点から前川氏をみていると、彼の言動は「官僚独立自治王国」の裸の王様の断末魔といえます。
 戦後の官僚と政治の関係をみると、戦前からの政治家が公職追放されてしまって素人が当選してきた一方、役人はあまり公職追放されなかった。そのため戦後は情報力の面でも判断力でも、官僚の側の力が強かったのです。そして政治家も政治的な判断・決断を官僚に任せてしまった。
 そんなことがありながらも、官僚は身分保障があって守られているため政治責任は取らない。そういう理想的な官僚の自治王国ができたのです。それが壊れるきっかけが「内閣人事局」の発足でした。

 これまで各省庁は事務次官を頂点とする自治王国であって、一種の社会契約があって低賃金で深夜労働もあるけれども政治家に阿(おもね)る必要はなく、民間の平均以上の生涯賃金が保証されるという暗黙の了解があったわけです。しかし、天下りができなくなり、事務次官に人事権がないとなれば、誰も言うことを聞かなくなります。優勝な人材の採用もままならなくなるでしょう。

 高橋 有能な人材は、民間に進んで稼いでもらえばいいんです。内閣人事局を作ったときに、制度上は「出入り自由」にしたのです。公務員と民間との行き来はできるようになっている。それから政治任用の公務員と通常の公務員とを分けています。そのように、公務員制度は変わりつつあるのですが、そうした観点からみると前川氏は旧時代の遺物だと思います。それを持てはやしているマスコミは、一体何なんでしょうね。

  この過渡期に、世の中の進化についていけない一部のメディアが前川氏を持ち上げている。

 高橋 官僚制度には身分保障があり、そして官僚は確実に昇格します。そして給与保証がある。その三つの保証に少し手を付けたのが内閣人事局だけれども、降格もなければクビもない。民間の観点からすれば全然、大したことじゃないんです。一体、何を騒ぐほどのことがあるのでしょうか。


 宮家 あと2つ指摘したい。われわれ役人は「大蔵省主計局」という幻想を作ったんです。国会議員を説得するときに官僚は「先生のおっしゃる通りですが、主計局がうるさいんですよ」」と、旧大蔵省主計局をスーパー官庁に仕立て上げていたんです。国税庁は税務調査をかけられるから、誰も主計局には逆らえない、そういう幻想を作りあげて政治家に対する魔除けにしたのです。それから、官僚は族議員を養成することによって「毒をもって毒を制す」で他の議員を制して、官僚の自治王国を守ってきた。
 ところが、スーパー官庁の幻想は「ノーパンしゃぶしゃぶ」の事件で吹き飛びましたし、族議員も雲散霧消してしまった。官僚の自治王国が風化していくのも当然といえます。

 問題は、今後どうするのかということです。政治がこの体たらくで、スタッフである官僚がこの状況で人材が入ってこない。日本にはしっかりした民間のシンクタンクも育っていません。なぜかといえば行政機関が日本唯一のシンクタンクだったからです。

 高橋 私なんかは役所を辞めてから、霞が関に対抗するシンクタンクを作って、現実にいろいろな政党などと契約を結んで、ちゃんとビジネスになっています。

  今、働き方改革ということが言われていますが、事実上「終身雇用はもう無理だよね」ということです。だから事業規制も緩和して転職もより自由に、と民間も変わり始めています役所も、この動きに応じてかわっていく必要があります

 石川 現役の官僚たちに「どうやって生きているの」とよく聞かれるんです。私は一人シンクタンクをやっていますが、役所を辞めてどうやって食っていくのか、ということで私のライフモデルに興味があるんですね。


 宮家 政治任用についてですが、大臣補佐官などを任命するだけではダメで、事務次官、そして局長を採らなければ。

 高橋 海外では、次官の3分の1くらいは政治任用するのが通常なんです。日本でもそうするよう公務員制度改革の議論で主張しましたが、実現できませんでした。海外で「日本の次官は皆、生え抜きです」というとビックリされますよ。

 宮家 国家観とか忠誠心の問題ですが、外務省の官僚でも、入省して10年もすると国家という意識はあるんだけれど、まず「わが省」が念頭にあるわけですよ。私も27年在籍して「わが省」意識があったけれども、辞めた後は「わが国」のために仕事をしている。辞めたほうが国のことを考えるようになるんですね。

 石川 なぜならば、権限がなくなるからですよ。

 宮家 そう。権限があると、それを守る必要がありますから。
 日本という国はユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパン、すなわち各省庁による連合政権であって、それを壊そう、という話です。

  役所のビジネスモデルはどういうものかといえば「貸し借りを通じた自らの影響力の最大化」なんですよ。役所というのは儲けは関係ありませんから、権限や予算を増やすことに集中するわけですが、そこで他省庁や業界との貸し借り関係を増やすことで自分の影響力の最大化を図っているのです。
 今回、文科省が騒いでいるのは自分たちの影響力最大化を妨害された恨みでもあるわけです。

 高橋 加計学園の問題であまり理解されていないことですが、文科省の告示があって、そこに獣医学部の新設は受け付けないと書いてあるんです。それを今回、国家戦略特区という仕組みを使って、新設を申請してもいいよ、と直しただけの話です。このレベルの話で、なぜすったもんだしているのか理解不能です。あんな告示を出していたこと自体がおかしい

  自分たちの好き勝手に行政を歪めていたんです。その告示を基に、貸し借り関係の最大化を図り、天下り先を作ってきたといえるでしょう。

 宮家 官僚制度は変革の時期を迎えていますが、国の大事な政策を誰が誰と相談して決めていくかという意思決定過程が問われています。国の重要政策の決定プロセスを考え直すいい機会とすべきだと思います。

  世の中全体として、古い仕組みが許容される時代ではありません。今回の獣医学部新設をめぐっては族議員もいろいろ絡んでいるわけですが、こうした族議員制度も変えられるか。
 メディアもまた、明らかに変な発言をする人をヒーロー扱いしてしまうような状況から脱却できるか。
 国民もまた、NHKや朝日新聞が描く勧善懲悪の構図に乗せられて都議選ではおかしな投票行動をしたりしましたが、そうした昭和的な価値観から考えを進化させられるか。
 前川氏の問題は、もろもろのプレイヤーが世の中の変化に適応できていけるかが問われている点で、面白い試金石になっているように思います。


以上


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プロフィール

teccyan88

Author:teccyan88
団塊の世代(♂)。うどん県高松市生まれ。大学は京都。20数年の会社員生活(四国各地・東京・広島・福岡勤務、主として経営管理・企画畑を歩む)の後、早期退職しUターン。専門学校(3年)ののち自営業。
趣味:読書、水泳、水中ウォーキング。
尊敬する人(敬称略):空海、緒方洪庵、勝海舟、大久保利通、司馬遼太郎、盛田昭夫、小倉昌男、佐々木常夫、西原理恵子ほか多数。

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