経済問題を読み解くキーワード


かねてから注目しているぐっちーさんが、世界経済についてAERA12年9月24日号でなるほどという論を展開している。ご紹介します(12年8月24日のブログ「リーマン・ショックへの対応策は?」も読んで下さい)。
すべての経済問題を読み解くキーワード
(本文抜粋)
1929年にアメリカで大恐慌が起き、その後に「Great Compression」(大圧縮)と呼ばれる時代を迎えます。所得格差が縮小して中産階級が生まれてくるという「格差の圧縮」のことを指します。
いま我々が直面している問題は、別の大圧縮とでも言うべき事態。経済とその信用システムが文字通り大圧縮している状況であり、英語では「Deleverage」と表現されます。
いま起きているすべての経済問題――リーマン・ショック以降のアメリカの雇用停滞、欧州危機、中国などの景気低迷の始まりなど――の原因を、この一言に求めることができる。
Deleverageは、日本語で信用収縮と置き換えてもいい。
「Leverage」(てこの作用)という魔法が、2000年代の経済を支配していました。BRICSの発展も、アメリカの経済成長も、ベンチャー企業の隆盛も、すべてがLeverageという信用システムの拡大によって支えられました。
本来なら家が持てないような貧困層でさえ家を持てた、というのはLeverageによる福音だった。証券化商品という手法が、そういう信用リスクの高い相手にも融資ができる……と万人を信じさせた。これが間違いだったということが、リーマン・ショックで判明。元来取れないリスクを取ってしまったことに気がついて、膨張した信用取引が一気にはじけてしまった。
日本は91年までに同じことを不動産バブルとして経験。今回は不動産のみならず、あらゆる資産に対する信用が膨張しすぎていたのですから、その衝撃が大きいのは当然。今後は、日本のバブル崩壊後と極めて似た現象がより大きな規模で起きるでしょう。
金融機関が貸し出しを縮小することで、ヘッジファンドなどが破綻していくのは当たり前の成り行きです。その縮小分を何とかしようと支えているのが世界中の中央銀行だ、ということになります。
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(感想・意見など)
そのぐっちーさん(山口正洋まさひろ)が初めて本を出したというので本屋に買いにいったが、売り切れてなかった。予約して、入荷の連絡があったので、今日買ってきた。
したがってその本(「なぜ日本経済は世界最強と言われるのか」東邦出版 1500円)はまだ読んでいない。
ぐっちーさんは、丸紅→モルガン・スタンレー→ABNアムロ→ベアー・スターンズ→ブティックの投資銀行開設と移り、今も現役の投資銀行マンである。
この本の「はじめに」の中に、ぐっち―さんはこう書いている。「皆さまが新聞などでご覧になる経済予測や記事は、学者ですとか、実際ディールに携わったことのないエコノミストなど、いわば『象牙の塔』に住んでいる人たちの情報ばかりです。彼らは『鳥はこうやって飛ぶんだ』とメカニズムを解説するのですが、実際に自分で飛んだことはないのです」「しかし、我々ブティックと呼ばれる投資銀行家たちは理屈はともあれ、毎日実際に飛んでいるわけです。実際に飛べる人々の発想、感覚、情報を捉えていただくことが特に金融においては重要です」
ぐっち―さんの本の値打ちは(まだ読んでいないが)将にここにあると思っている。楽しみである。
以上