官尊民卑②

13年5月12日のブログ「官尊民卑」で私が感じたことと同じことを、考えた人がいた。
13年5月29日毎日新聞「コラム 発信箱」欄の学芸部 栗原 俊雄さんである。抜粋してご紹介します。
宙に浮いた空襲被害
今月8日、東京大空襲の被害者や遺族ら77人が国に賠償などを求めた訴訟で、最高裁は原告の上告を棄却し、原告敗訴が確定した。具体的理由を示さない、門前払いだった。
1945年3月10日、米軍の空襲で10万人が殺された大空襲だ。原告にとって、「一億総ざんげの法理」、戦争で国民みんなが被害にあったから、みんなが耐え忍ぶべきという「戦争被害受忍論」が障害となった。
だが国は戦後、旧軍人や遺族らに対し恩給など50兆円以上を支給してきた。そうした援護を受けなかった原告らが、「法の下の平等に反する」と感じるのは自然だろう。
注目すべきは、2審までの東京地裁、高裁が原告の被害を認定したこと。地裁は2009年の判決で「国家の主導の下に行なわれた戦争による被害という点においては、軍人、軍属との間に本質的な違いはない。原告らの苦痛は計り知れない」などと述べた。それでも受忍論を乗り越えられないところに司法の限界がある。
今、その司法が認定した戦争被害が、何の救済もなく宙に浮いている。77人の原告の平均年齢はおよそ81歳。今後は、「空襲被害者等援護法」の制定を求めて、国会への働き掛けを加速させる。
大空襲やシベリア抑留経験者で、国に補償を求めて裁判を闘ってきた何人かが言った。「国は私たちが死ぬのを待っている」。
以上